たった3日間の特別公開:伊藤若冲の天井画at信行寺
2016年は、伊藤若冲生誕300年で、生まれ故郷の京都ではたくさんの伊藤若冲展が
行われています。相国寺承天閣美術館や京都市美術館での若冲展が賑わっておりますが、
それに加えて、短い期間の展示もあります。今回たった3日間、平安神宮に近い
信行寺というところで、若冲が晩年に描いた天井画公開がありましたので行ってきましたので
紹介したいと思います。
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信行寺とは?
京都東山、平安神宮の少し西あたりにあるお寺です。
信行寺の行き方などは以下の記事を参照ください。
関連記事:信行寺への行き方等
信行寺の若冲作の天井画の由来とは?
この特別公開に行ったときにも、信行寺の和尚さんがおっしゃっていましたが、
初めからこの信行寺に伊藤若冲の花卉図=天井画があったわけではありませんでした。
この花卉図は、若冲最晩年の作品と言われております。
若冲は85歳で亡くなったのですが、83歳のころの作品と言われています。
その晩年期に若冲が過ごした伏見稲荷の近くのお寺、石峰寺の観音堂に設置されていたのが、
明治初期に観音堂取り壊しに伴って、売りに出されたものを古物商が買い取り、
その古物商がなんと信行寺に寄贈したことにより、信行寺の天井に設置されるようになりました。
特別公開のときの信行寺の様子です。
約30分くらい並んで中に入ることができました。
特別公開の中の様子(写真撮影禁止でしたので、文章で)
本堂に通された後は、約数十人の観覧者は、全て床に座り和尚さんのお話を聞きながら
天井画を鑑賞しました。実はこの天井画の公開は2015年にも10日間くらい行われました。
今年2016年は若冲生誕300年ということもあり、京都市からの強い要請で、
3日間限りで特別公開することになったと和尚さんも仰っていました。
昨年は、日が差しているときは天井画が良く見えたものの、雨の日などは暗くて天井画
がほとんど見えないということがあったそうです。その昨年の教訓を生かして、今年の
3日間の特別公開においては、本堂の床の真ん中にLEDライトが設置されており、その
LEDライトによって天井画がよく見えました。
和尚さんは実際にLEDライトのスイッチを操作して、LED点灯しているときと
消灯しているときの見え方の違いや、LEDの色も準白色と少し黄色かかった光、
赤色かかった光でどのように色が変わるか実験してくださいました。
どんな花が描かれているか?
天井には南北8段、東西21列の格子面があり、その一つ一つの格子面に円の板があり、
その板に花の絵が描かれております。1つだけは絵がなく、あと残り167面に
167枚の絵が描かれています。
様々な種類の花がえかがれております。一番多いのは牡丹、それ以外には
菊、朝顔、梅、蓮などさまざまですが、なんとハイビスカスなどもあります。
その緻密な花の描き方には驚嘆しました。もう約220年前の作品であるわけですが、
勿論色が薄れている作品もありますが、かなり鮮明に残っている作品もあります。
特に赤色、白色はあまり薄れず残っていました。
写真は撮影できませんでしたので、講師面の円に描かれている牡丹のイメージ図を記します。
次の公開は、来年?
たぶんまた公開されることはあるかと思いますが、あっても1年に数日とかの
ペースなのではないかと想像します。というのは、上でも触れましたが、かなり
傷んでいる絵もあり、たぶん今後温湿度管理などをして保存状態を良好に保つ必要が
あるのではないかと思います。木に直接描いているところが他の多くの若冲がと
異なるところですね。
今度の公開までに良い本が出版されています。
今回の2016年信行寺 若冲天井画花卉図特別公開に合わせて、
若冲の「花」という本が出版されました。
著者は美術史家の 辻惟雄(のぶお)さん。
167枚の絵のすべての写真や主だった絵の詳細解説、さらには信行寺以外の
若冲の作品の紹介など盛りだくさんです。次回の公開までの予習にご覧に
なるのもよいかなと思います。
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